着物リメイク「TPO」

私は当ブログでよく『「和裁」と「洋裁」の違い』という事をご紹介しています。
『和裁…着物ありきで着物は必ず反物に戻る』
※着る人が着物に合わせることが出来るように着物の着付けは非常に柔軟です。
『洋裁…人ありきで生地を人に合わせて裁断する』
※それぞれの人・体形に合わせて生地を裁断して服を作ります。
その為、太ったらオーダーメイドのスーツは着る事が出来ない…。という事が起こります。
プレバト 着物リメイク
そして、その違いは着物リメイクでも反映されます。
アパレルメーカーでデザイナー/パタンナー出身の着物リメイク屋は
デザインに着物という素材を落とし込んで製作する事に対して、
着物・呉服店出身の着物リメイク屋は
着物(反物)を活かす事を第一にアイテムを考える傾向があると思います。
(中には両方に当てはまる人、両方に当てはまらない人もいますが…)
それはどちらが正しいかという短絡的な話では無く、
どちらがお客様のご希望に沿うのか、という視点で考える必要があります。
プレバト 着物リメイク
様々な着物リメイク屋が色々な特徴を持つ中で
私達は着物の柄と作るアイテムの整合性という事を
かなり突出して話していると思います。
それは私達の特徴でもありますし、
また、日本の服飾文化という文脈の中で私達の先人への敬意でもあります。
先日「蘭、菊、梅」の柄を切り取って製作している着物リメイクバッグを見ました。
これは柄に対して呉服的な下敷きがある人からみれば柄に竹があったことを想起させ
「どうして竹を外した?」と思うようなまずい柄の取り方です。
プレバト風にコメントすれば「才能無し!」な着物リメイクになります。
プレバト 着物リメイク
「蘭、菊、梅」と柄があればおそらく「竹」があっただろうと想像が出来ます。
なぜなら「欄、菊、梅、竹」と揃う事で「四君子」と呼ばれる柄になり、その事に意味を持つからです。
以下、ウキペディアより一部引用します。
『…四君子(しくんし)とは、蘭、竹、菊、梅の4種を、草木の中の君子として称えた言葉。
また、それらを全て使った図柄、模様。
本来、君子は徳と学識、礼儀を備えた人を指し、文人はみな君子になることを目指した。
蘭、竹、菊、梅の4種の植物がもつ特長が、まさに君子の特性と似ていることから、
文人画の代表的な素材にもなった。
蘭はほのかな香りと気品を備え、
竹は寒い冬にも葉を落とさず青々としている上、曲がらずまっすぐな性質を持っている。
梅が早春の雪の中で最初に花を咲かせる強靱さ、
菊が晩秋の寒さの中で鮮やかに咲く姿が好まれた。…』

これは知っているか、知らないかの問題で
もし知識として「四君子」が頭の中に入っていれば
出来る限りこの柄の意味を活かしてリメイクしようと思うと思うのです。
プレバト 着物リメイク
だから、私は着物リメイクするアイテムと着物の持つ意味の整合性という話を発信しています。
着物は着ないから「ぶった切って良い。好きに使って良い。」も、
(私達は絶対にそうは考えませんが)尊重すべき一つの考え方ですが、
着物リメイクを行なう私達が最低限の着物への敬意と知識を持ち、
仕事に取り組む事でもっと成熟した市場をお客様に提供できるように思うのです。

何かお探しでしょうか