カナタツ商店の歴史と感謝!

今日の虎の巻でまとめるのは当店のブログ記事でも最もアクセス数が多い記事の一つです。

独立から今日まで私達がどんな経緯を経て、そして、どんな想いで着物リメイクに取り組んでいるのか、この記事一つでで私達着物リメイクのお店カナタツ商店の事がほぼ分かるという内容をまとめてみたいと思います。

2011年4月1日…百貨店催事や店舗販売等を中心に着物リメイクに関して学んだ私達は満を持して「着物リメイクのお店カナタツ商店」をネット上に開店しました。(それぞれの経歴を語るならば私:呉服店⇒イタリア⇒婦人服メーカー⇒着物リメイク専門店加菜子さん:イタリア⇒裂き織り作家アシスタント⇒着物リメイク専門店です。)

全くの手探りでこのネットのなかには着物リメイクの市場があるのか…
そもそも着物リメイクという商売が世の中に必要とされるのか…
未来への期待や昂揚感よりも不安だけが募る船出でした。

当時、ドレス系は一部散見しましたが(今も営業している優良なお店が数店ありました)、着物リメイクをネットでしっかり受注していた企業はほぼ無かったです。
一部着物リメイク作家の方がご自身の作品をネットにアップしているだけのような状態でした。

そもそも市場が無いので認知度ゼロの独立当時は全く売れません…orz
そして、着物リメイク以外の事がわからない私には営業の能力がありません。
だからといってネット販売の知識もありません。
無い無い尽くしの中、貯金を切り崩しながらの日々で本当に苦しかったです。
(その辺は今も大きく変わらないですが…(笑))

未成熟なネットの中の着物リメイク市場で私達はもがくように様々な事にチャレンジしては失敗を繰り返し(今でも繰り返して)、自分たちが喰えるようになるために着物リメイクの市場を創出する事を目標にしてこのブログやホームページを使って情報発信をしながら少しづつ自分達の着物リメイクへの哲学やスタイルを確立しました。

※独立当時使用していた職業用ミシン…現在はブラザーの工業用がメインになってます

…独立から2年後私達は大きなチャンスを掴みます。
名前は出せませんが「超」が付く位の大手企業との共同での着物リメイク商品の開発です。
その着物リメイク商品の反響は大きく、そのころから私達の仕事も少しづつですが認知されてきたように思います。
(でも、着物リメイクの認知度はまだまだ…orz。もっと世間的にメジャーな仕事にしたいです。それは本当に私達の大きなテーマです。)

ただそんなに簡単じゃないのが人生。「禍福は糾える縄の如し」です。
仕事で掴んだ上昇気流の直後、その画期的な着物リメイク商品の発売1か月後私の人生でもっとも大きな転機が突然訪れます。
当時7歳だった子どもが大きな交通事故に巻き込まれます。

4か月の入院期間、5回の手術、1年に渡るリハビリ。
その期間、私達の日常は大きく変化します。
大けがをしている7歳の子どもを一人病室に置くわけにはいかず、私とパートナーの加菜子さんは1日交代で病院に泊まりました。
私達二人だけのお店は必然的にその期間50%以下のパフォーマンスしか発揮出来ない時期でした。

一方、発信力のある有名大手企業と着物リメイク商品を開発したインパクトは大きく、仕事へのエネルギーがそがれていたその不幸な期間には私達から営業をかけたところで門前払いになるであろう大企業も含めて複数の企業から私達の着物リメイク商品の取り扱いを打診されました。
今思えば情けなく、大変もったいない話ですが病院と会社の往復で精神的に追い込まれ肉体的に疲弊しきっていた私達は全ての申し出に及び腰でした。

その期間の私達のエネルギーほとんど全てが「仕事」から子どもの回復への祈りと献身に変わっていました。
結局1社も新たな契約にこぎつける事はありませんでした。
受け入れる準備をしていないものに幸運の女神は微笑むことはありません。
チャンスは一瞬で私達の目の前を通り過ぎ、私達は千載一遇のチャンスを逃したのです。

未成熟な市場に飛び込んだ独立時もきつかったですが、それ時期以上に企業としての能力が著しく落ちた子ども事故後のしばらくの期間はバランスを大きく崩して、いつお店がつぶれてもおかしくないような状況になりました。

けど、文字通りギリギリの綱渡りを渡って、着物リメイクの可能性を信じて、ホームページ立ち上げから数年経過した今もこうしてリメイクの仕事をさせて頂いている事を思うと、私達に仕事を依頼して下さったお客様には感謝の言葉しかありません。

そして、今では「着物リメイク」というキーワードで沢山の専門店を比べることが出来ます。

ネットの中だけが全てではないですが確かな広がりをそのツールから感じる事が出来ます。
着物リメイクの市場の創出を目指しながら進み、今も道半ばですが、あの時踏ん張ることができて本当に良かったと思います。
(ただ、悲しいかな開拓者として道を作る事は同業のフォロワーからの標的にもなります。今まで同業からのHPの作り方や商品デザインのコピー、キャッチコピーのパクリ、私達の考え方を根拠なく叩く事で自分達を相対的に良く見せようとする手法等、とても嫌な気持ちになる事もありましたが、自分のアイデアや方法が無い経験値の低い参入者なら受け止めないとしょうがないので「着物リメイクを広げてくれて有難う」と考えるようにしました。そのフォロワー達も仕事を継続させる過程でいづれ順番で同じ体験をするでしょうし、その時プロとしての矜持が生まれていれば自らの過去に恥を感じると思いますので。)

過去ブログでも失敗談の告白をしましたが百貨店催事を中心に着物リメイクに携わってきた私達は独立当時着物リメイクは古い着物への知識と縫製技術やデザイン力があれば大丈夫…と頭でっかちで実に表層的で教科書的な技術・知識をよりどころにしていました。

痛烈な失敗をする事やお客様から沢山のお葉書、お手紙を頂く事で私達の着物リメイクのスタートラインは
「お客様の着物への想いを受け止める」
「一枚一枚の着物・帯と向き合う」
というスタンスに変わりました。
この独立後の経験からの心の変化(私達の哲学の確立)というのは仕事に取り組むうえで非常に重要でした。

今の私達が持っている預かる着物への敬意とお客様への真摯な気持ちが無ければ、もし、前述の幻のブレイク(沢山のオファーがあった)期間に他の大手企業と契約を結んだとしても一瞬でそのバブルは弾けたと思います。
それぐらい「着物リメイク」という仕事においてお客様の想いを理解する事は核心であり、間違いなく「全て」なのです。
(そして、この心の変化、学びの後、業界の先輩方から頂くアドバイス等が一層深く理解できるようになりました。)

※お客様に頂いたお葉書の一例。
…お客様にとっては涙が出る程の着物という事を真摯に受け止める事を学びました。

仕事は決して一足飛びには行かないし、人生とは本当に簡単じゃないと思います。
その難しさは今日のブログで綴ったように苦しく辛い経験で学びました。

それでも五年前着物リメイクのお店カナタツ商店をネット上にアップした時にはまったく存在しなかったおひとりおひとりのお客様と築いた着物リメイクの「輪」は今はたしかにあります。

それは小さな輪かもしれませんが、間違いなく私達とお客様で作った輪です。
決して大きくはない自分達の器の応じて少しづつで良いのでこの着物リメイクの輪を広げることが出来るようにこれからも仕事に向き合いたいと思います。

私たちは大きな事が出来る才覚は無いけれども、自分達の着物リメイクの輪を少しづつ広げること、(あなたかもしれない)誰か一人の役に立つことを繰り返すことでささやかでも良いから社会の一員としてこの世の中のお役に立てればと思っています。
そしてそれはお客様からのご依頼を真摯に受けることが出来れば私たちでも出来ることだと仕事を通して学ぶことが出来ました。

今までご利用下さったお客様、関係各位の皆様、そして、これから着物リメイクをお考えの皆様、これからもどうぞよろしくお願い致します。

ネットにホームページを立ち上げて、こうして仕事をさせて頂ける事に本当に感謝の言葉しかありません。
本当に本当にありがとうございます。

着物リメイクのお店カナタツ商店
代表/小玉達人

 


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