カナタツ商店が着物リメイク研究の為に読んだ3冊
着物リメイクを生業にする私達がどのような本を読んで着物リメイクに対する考え方や知識を深めたりしているか今日は最近仕事で使った文献をご紹介します。
(1)櫛かんざし
本職の着物や帯に+αで私たちが調べているのが女性の装飾具の代表格の櫛や簪です。
当ブログでも日本の伝統的な柄などに関して触れる事がありますが、日本の服飾文化を衣類のみならず体系的にまなぶことで断片的な情報が繋がりを生み文化的な深みを理解することができます。
着物リメイクの事のみならず、古布の事、アンティーク着物の事をより一層理解されたい方はオススメの一冊です。
広い視点で日本の服飾の歴史が理解できますよ。
(2)ボタン博物館
この文献も服飾文化を学ぶ上で非常に重要な一冊です。
この一冊で古代から現代までボタンからみた服飾の歴史を学ぶことが出来ます。
「ボタンとは何ぞや?」
その装飾性と機能性に関して双方からのアプローチや思考をする事で着物リメイクをする際も深みが生まれてくると思いますよ。
(大都市にはアンティークボタンを専門にしたお店などがありますが、仕入れ(購入)をする際にもこの本で知識の下敷きがあると目利きが出来ます。ボタンも凝る人には最高の教科書と言える一冊です。)
そして、ボタンというと洋装だけのお話に感じますが、有田焼や薩摩焼のボタンなど非常に日本的美意識を感じるものもあります。
こういう変わり種のボタンも大変興味深く、その変化球的なボタンを追いかけてページをめくるのも楽しいですよ。
(3)WEARING PROPAGANADA
これはエール大学(海外)から出された文献ですが、私達の着物リメイクの師匠筋が戦争柄の着物に大変詳しく、一部コレクションを貸し出したことで私達も拝読する機会を得ました。
(興味のある方は購入もできるようです。)
研究者によると戦争柄の意匠は庶民の間で自発的に広まったようでプロパガンダと呼ぶには少し無理があるような気もするのですが、それでも「時代の空気」があったことは今残る着物からも読み取る事は出来ます。
ちなみに戦争柄は日本のみならず海外にもあったことがこの文献から見ることが出来ます。
上記の文献は海外の図録ですが日本の戦争柄の着物の研究の第一人者は乾淑子さんですのでこの手の古布、アンティーク着物に興味のある方は是非乾さんの著書をご覧ください。私達も乾先生の著書からも学びます。
着物リメイクをしていると色々な年代の着物を拝見しますが、戦前の華美な雰囲気はこの戦争柄の広まりと共に一変していくことを時系列で感じます。
その意味でもこの年代の着物を正しく理解する為にも非常に良い一冊と言えます。
今日は私達が最近広げた資料をご紹介しました。
着物リメイク屋ですので着物リメイクの本ばかり読んでるのかと言うとさにあらず。
もちろん他の方のリメイクの仕方や考え方を学ぶために読む事もありますし、好きな先生もいますが、技術/経験は毎日の仕事で蓄積されるので、表層的な技術だけでは無く自分達の仕事に重層的な深みを与える知識を得ることに重点を置いています。
意外に着物リメイクの周りにある文化を正しく理解する事が良い仕事に繋がったりしますよ。
さて、当ブログなどで私達の着物リメイクに興味を持たれた方は是非一度リメイクをお考えのお着物や帯を見せて下さい。
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