今日は着物リメイクを生業とする私たちが常に心にとどめ
最も大切にしなければならない着物リメイクを依頼されるお客様の想いに関してそれがいかに重く、かけがいなく、素敵なものか心に響いたお手紙とメールをご紹介します。

まず、ご紹介しなければならないリメイクをご依頼いただいた振袖と一緒に送っていただいたお手紙をご覧ください。
（お客様からのご許可のうえブログに掲載しています）

『この度はよろしくお願いいたします。
もう２５年以上前、私が高校生の頃に唯一母にねだって「成人式に着たい」と買ってもらった着物です。
が、実際は私は出産をひかえてしまい２０歳の頃には着れず、そのまま現在に至りました。妹が二人いますが、その二人共、この振袖を着ており、妹にとっても想い出の品であります。
昨年の暮れ、病にて母が他界しました。
形見分けを兼て遺品整理をした際、もともと着物が好きで何枚も持っていたはずの母のタンスにはこの振袖１枚しか入っていませんでした。
経済的事情等で着物は全部売ってしまったとききましたが、この振袖だけは手放さずにいてくれたようで涙がとまりませんでした。
着物として残しておくかどうかと考えましたが、やはり目につくところでこの柄を見て母を思い出したいと思い、リメイクをお願いする事にしました。』

僭越ながら今、私は親の立場でお母様が諸事情の中この振袖だけは手元に残しておいたお気持ちが判ります。
そして、子供の立場としてこの着物をリメイクに出してずっと手元に残そうとされた気持ちも判ります。

着物の中に込められたお母様の想い、それを受けてのご依頼者の想い。
その想いを取り出して形にしていく。
それは製作の技術としてはもちろんの事ながら作り手（私たち）の心の問題でもあるように思っています。
相手に響く仕事を目指して。
この気持ちは今後も今まで通り持ち続けていたいと思います。

こ納品後に頂いたメールは上のお手紙とつながるので、個人情報などさしつかえのない部分のみ抜粋で以下紹介させて頂きます。

 

『…【前略】…実際自分の振袖がどのように変わるのかとても楽しみで出来上がってくるのを心待ちにしていました。
箱をあけ商品を目にして思わず微笑んでしまうほど想像していた以上の素敵なものに出来上がっていました。
ひとつひとつを大切に作り上げてくださった様が目に浮かび本当に嬉しく思いました。

特にタペストリーを広げてみたとき、私が一番気に入ってどうしても飾っておきたいと願ったそのものの柄を目の当たりにして、
25年ほど前この着物がいいという私に苦笑いしながらも買ってくれた母の姿がふいに浮かび思わず泣けてしまいました。
ここに母がいたら、『あの着物がこんな可愛らしい小物にかわったのかぁ』などといい全部自分がもらうといいだすかもしれません。

皆様のおかげで、25年に渡って母が唯一大事に残しておいてくれた大切な私の振袖がリメイクという形を経て私の手に触れられるところに持ち続けることが出来ます。
日常で一番近いところに身につけながら亡き母を偲んでいけます。
また、同じ着物に思い出を持つ妹たちにもその思い出の源を分けてあげることができます。

…【中略】…

大切な着物をとても素敵な仕上がりにリメイクしていただき本当に本当にありがとうございました。…【後略】…』

心を込めた仕事は必ず響く。
お客様の想いと波長が合うと思うのです。

悩みながら、苦しみながら、本当に私たちが輝ける、必要とされるフィールドがこの仕事にあるのか。
その自問自答のなか始めた着物リメイクです。

こうしてお客様と繋がる毎日のなかに、今の私は確かなやりがいと矜持を感じています。
迷いながらも仕事に打ち込めば評価してくださる方が必ずいます。
その評価の積み重ねで仕事が好きになりモチベーションが上がります。
そうやって人はプロになっていくのだろうし、世の中の自分の立ち位置を築くのだろうと思います。
私の築く世界は小さくささやかなものです。
それでも、それが強く確かなものに出来るように私は仕事に取り組みたいと思っています。
その想いをより一層感じたお客様との一連のやり取りでした。

さて、私達の着物リメイクに興味を持たれた方は是非一度リメイクをお考えのお着物や帯を見せて下さい。
現物を拝見しながらですと非常にスムースに打ち合わせが出来ます！

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さて、「着物リメイクの事聞きたいけど…」「料金は？」「納期は？」とご不明な点がある方はお気軽に以下のフォームよりお問い合わせ下さい。
通常でしたら１２時間以内に返信させて頂いております。

また、「取りあえず着物リメイクの事を知りたいな…」という方や「おばあちゃんはパソコン無理だし…」という方、等々…
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