「モノからコトへ」

着物リメイクこそ、ズバリとこのキーワードに合致する仕事の一つだと私は考えています。

 

 

私達は対企業での着物リメイクも何度も経験しており、また、大変得意としていますので呉服業界有数の大手小売店と着物リメイク商品を開発する機会がありました。その企業は私達同様けっこうな数のアイテムを揃えて着物リメイクを展開しているのですが、なかなか売れない事を嘆いていました。

商品を拝見すれば縫製技術的には上手い。それもそのはず色々な専門工場で作っているのです。

しかしながら、私は同時に違和感を感じました。
「完成度は高く、良い仕上がりだけど食指が動かない…。」そんな印象を持ったことを覚えています。

 

 

この違和感はどこから来るのだろうと、私はずっと気になっていたのですが、「着物リメイク」という事を真摯に考え、「モノからコトへ」というキーワードを落とし込む事で、核心に似た自分なりの答えを得ることが出来ました。

その大手小売店の手法は自分たちが作る事が出来る既存のバッグのデザインに着物の方を合わせていたのに対して、私達は全て反物からデザインを考えて設計しています。

着物リメイクに対するアプローチの部分が自分たちが作る事が出来る「制作アイテムありき」なのか、それぞれ異なる「着物ありき」なのかと私達と１８０度異なるのです。

その根底にあるのは着物リメイクを「モノ」としてとらえるのか、「コト」と捉えるかの違いのような気がします。

 

 

「コト」と捉えればこそ、着物一枚一枚に向き合う姿勢が必要ですし、より深く着物にまつわる想いや想い出に寄り添う心が求められます。そして私達は着物ありきで着物リメイクを考え、お客様それぞれの「コト」になる想いを提供したいと思っています。

そのアナログ的な部分を深堀りしてこそ着物リメイクという仕事の意義があると私は思っています。私たちの仕事は「コト」づくり。時々「着物リメイク」に関して深く考えて、その事をブログに吐露していますが、今日もそんな一日でした。

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