和柄の意味を理解するとリメイクの視点が変わります。

着物リメイク店それぞれに特徴があります。
デザインで勝負するところ、
独創性で勝負するところ、
低価格で勝負するところ…、
私というフィルターで着物リメイクの定点観測しても
色々なお店が様々なフィ―ルドでしのぎを削って勝負をしています。
また、着物リメイクを離れて少し俯瞰で見てみれば
特に洋服類に関してはお客様(消費者)と製作者(メーカー)が
直接結びつくようなサイトの隆盛も周知の通りです。
選択肢は本当に様々でその多様性は業界人としては嬉しいです。
着物リメイク検討中のお客様にとって良い傾向が出来つつあると思っています。
(ただ玉石混交の状態であることは間違いないなく
着物の事や洋裁の事を全然知らないような人も作家・職人を
名乗ったりしているので消費者の賢明さが必要なのは他の商売と一緒ですが。)
そういう中で私達はアンティーク着物に強くて、
また着物の格式だったり、柄などを考えながら
リメイクに取り組む姿勢というのは、
今こそ改めて発信するタイミングのような気がします。
着物リメイク プレバト
私達の着物リメイクの取り組みとして、
今日はシームレスな広がりのある吉祥文様の扱い方を考えてみます。
吉祥文様そのものの意味を理解すると
この柄からのリメイクの際に注意しなければならないポイントが見えてきます。
例えば女の子の着物のイメージの強い矢絣(上の画像)。
私の世代では「ハイカラさんが通る」のイメージなのですが、
矢は射れば『戻る事が無い』ので結婚式と関連する事が多い柄で、
柄の意味をを理解すれば女性の着物の柄になるのは
時代背景と合わせて納得する気がします。
プレバト 着物リメイク
上の画像の文様は同じ大きさの円を4分の1ずつは重ねて繋いでいます。
この柄は七宝・七宝つなぎ文様といいます。
耐えることのない永遠の連鎖と拡大を意味しています。
以下、ウィキペディアより
「七宝」とは仏教典に載る ※「七つの宝」 で富貴を表し、
かつ、無限に連鎖する金輪の交叉から成る文様のため「無限の子孫繁栄」などを表す。
※金・銀・瑠璃・玻璃・珊瑚・瑪瑙・硨磲
理解を深めればこの柄は無限の「繋がり」に意味を持つことが判ります。
すると、着物リメイク店の方では繋がりを切らないリメイクを考える事、
もしくは、継ぎを入れるならば、この意味に込められた「繋がり」意識する事、
先人が着物(柄)に込めた想いを受け止めて形にする事が
非常に重要だと私達は考えます。
プレバト 着物リメイク
上の柄は麻の葉と言います。
この麻の葉柄に関しては昨年の初めに当ブログで踏み込んだコメントしていたので一部引用します。
『…形としては麻(通説では大麻)の葉に似ている事で「麻の葉」と呼ばれるのですが、
着物リメイク屋的基礎知識として麻の葉は子どもの産着などに非常に多いです。
この理由は何故か…?
麻は丈夫でまっすぐスクスク伸びるのでその事を子どもの成長に重ね合わせ、
その旺盛な生命力のあやかるためです。
麻の持つ自然の力、生命力を表す麻の葉模様が「健康」のアイコンとなっているのです。
そして、麻の葉文様の生み出す沢山の交差も非常に意味があります。
日本の服飾文化的に2本の線が交差する「×」の印には此の世と異界が交わりを示し、
二つの世界の間を無くすことが魔除けになると考えられていました。(間除け=魔除け)
~中略~
子ども産着に多い「麻の葉文様」ですが、
この2つの意味を理解する事で
何故、「健康」を意味するのか、産着に多い理由は何故なのか、
そこに込めた親の想い、家族の想いに想いを馳せることが出来ます。
その知識と感受性は誰かの想いを受け継ぐ仕事でもある
着物リメイク屋にはとても必要な事だと思います。…』

この柄の重要ポイントは交差する「目」であり、
その「広がり」に意味を持つと考えれば、
柄をぶっつり切って継ぐようなリメイクは
やはり出来る限り避けたいと思うのです。
※麻の葉の着物のリメイク例…ポケット部分などを見てい頂ければ本日お伝えしている
私達の柄の意味を理解した着物リメイクへのこだわりをご理解頂けると思います。
着物リメイク プレバト

何かお探しでしょうか