カナタツが大事にしたい言葉…『和魂洋才』

勧める人があったので西洋と東洋の比較文化等に関する分厚い本を3冊読了しました。

なかなかヘビーだったのですが自分の中でピントが定まって来たことがあります。

今日はお客様に頂いたメールをご紹介しつつ、

着物リメイクに関して改めて考えをまとめます。

 

※お客様からのカナタツレビュー(2016.6.25付メール)


プレバト 着物リメイク


 

私は当ブログで「和裁」「洋裁」の違いに関して関して良く書きます。

例えば今月初めのブログでも以下の様に書いています。

 

『和裁…着物ありきで着物は必ず反物に戻る』

※着る人が着物に合わせることが出来るように着物の着付けは非常に柔軟です。

『洋裁…人ありきで生地を人に合わせて裁断する』

※それぞれの人・体形に合わせて生地を裁断して服を作ります。

その為、太ったらオーダーメイドのスーツは着る事が出来ない…。という事が起こります

 

この指摘はアパレル出身の私達としては妥当だと思うのですが、

もう一層深化させて日本的思想と西洋の思想までさかのぼる事で

より深く「何故、衣類に対する考え方がこうも異なるのか」と考える作業が始まります。

 

西洋の文明は人間中心主義だからこそ洋服の方が

人間に合わせるような作り方になるとも言えます。

いろいろな国の民族衣装よりも簡便に扱え合理的で

消費を是とする社会システムの発展と共に普及した事は想像に難くありません。

 

古来より日本には高価な絹、綿などを再利用し着物を循環させる仕組みがありました。

その最も根幹にあるのが「着物の仕立て」であり、

必ず反物に戻る事を想定されている事で持ち主が変わっても再利用が容易でした。

 

この人間が着物の方に合わせるという考え方には、

人の寿命以上に長く使うことが出来る自然からの恵み(着物)に

儚い人間の方が合わせるという東洋的な考え方が根底にあると思うのです。

 

晴れ着として着古したら野良着、野良着として役割を終えれば、

裂き織りや襤褸、その後は雑巾…

徹底的に「リメイク」する文化が私達の服飾の歴史の根底には流れています。

 

※お客様からカナタツレビュー(2016.6.25付メール)


プレバト 着物リメイク


 

ただ、現在の着物の置かれている状況を考えてみれば

生活様式の変化と共にどんどん姿を消し、

その事はバブル期以降の市場規模の推移にも証明されています。

私はその時期に呉服業界にいたので体感的に判りますし、

また調査資料などに詳しいですが市場規模の縮小を文化の普及では無く

高単価化で補おうとした業界の失敗も大きいと思います。

 

衰退する文化の中で生活から剥離し、箪笥の中に埋没する着物や帯。

ならば日常生活で使える品を私達の持つ着物の知識を活かし、

尚且つ、技術を活かしお客様に提供したいと考えています。

 

先人たちがその歴史の中で脈々と受け継いできた

(その言葉は無かったですが)「リメイク」の精神。

私達の服飾文化とその根底に流れる精神は

世界に誇るべき本当に立派なものだと思います。

 

着物リメイクは着物や帯に対する知識は「和」を求められますが、

製作においては洋裁の技術です。

現代的な洋裁的技術、最新の機材を導入しても

着物が持つ本質的なリメイク観や精神性を

私達は引き継ぎながら現代の着物リメイクというもの考えたいと思っています。

 

『和魂洋才』

…玉石混交のネットの世界だからこそ私達が大事にしたい精神です。

 

以下、参考までにウィキペディアより

(※和魂洋才(わこんようさい)とは、日本古来の精神を大切にしつつ、

  西洋からの優れた学問・知識・技術などを摂取・活用し、

  両者を調和・発展させていくという意味の言葉である)

 

洒落を効かせれば…「和魂洋裁」??あんまり上手く無いですね(笑)

 

何かお探しでしょうか