「誰に向けて作っているのか?」という視点

先日福岡に行きました。私達の仕事に興味を持って下さった方との打ち合わせと私達の師匠筋の先生のところからオーダーを受けていた商品を納品させて頂く為でした。

納品をさせて頂いたアイテムは大ぶりな財布でした。
当店のラインナップにはない商品ですが、私達の先生という事で気心も知れていますし生地だけ預かって実験的に自由に製作させて頂きました。
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ドキドキしながら納品して、頂いたお言葉は「予想以上の出来。良く出来ている。」というお褒めの言葉…。
着物リメイクの業界に入った時から見て頂いている大先輩にそういう言葉を頂けるのは嬉しい限りです。

そしてもう一方でお叱りというか、アドバイス頂いたのは「このバイアスの使い方で良いのか」という投げかけです。
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この紅絹の裂き織りの財布で使ったのは市販のドットのバイアス。
ネットショップ上での私達のような加工請負の着物リメイクサービスの販売であれば、

  • 実用性や堅牢性
  • 供給が途切れない

という点からデザイン的なバランスが良いならば市販のバイアスから製作するのは正しい選択だと思います。

一方で今回オーダーして下さった先生のメインの顧客はコアな古布ファン。
その事に正面から取り組む姿勢に欠けてないか…。

その視点が加わるとデザイン的にバランスよく整合性が取れるという事だけで市販の素材を使うのではなく古布のみでより高い完成度に向けて製作に取り組んだのか?
手間から逃げていないか?という自問を生みます。
検討して最終的にこの素材を使うならば良いけど、最初から選択肢無く安直に使うのは、仕上がりは同じでも作り手の姿勢として全く異なり自分達のその後の蓄積や経験が大きく変わるという事を教示して頂いたのです。

「誰に向けて作っているのか?」
一緒に百貨店催事を回っていた下積み時代に同じ問いを投げかけられてもその当時の私ならば「はぁ?結果が同じならば無駄が無くて良いじゃん」と聞く耳を持っていなかったと思いますが、今は言わんとすることが良く判ります。
自分達で独立して苦労する事で先輩の言葉が理解できるようになったのだな…と思います。

今では縫製の事や古布への理解で注意を受けたり、指摘されることは無くなりましたが、後から追いかける私達の2段、3段と高い視点から、私達の足りない姿勢を指摘してくれる方が周りにいらっしゃることは本当に有難い事だと思います。

縫製の事はこの人、デザインの事はこの人、生地の事ならこの人、と今でもアドバイスしてくださる方がいるという事は私達の財産だと思います。

そして、昨日の納品後の別件の打ち合わせでは今から着物リメイクビジネスをお考えの方に私の判る事は出し惜しみなくお話をしました。
まだまだアドバイスをもらっては学びの多い私達ですが、一方で自分達の蓄積を伝える事も次の仕事として考えないと行けないな…と思います。


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