着物リメイクのチュニックアレンジ例

大人になって視点が変わる…
いろいろな物事で「ハッ」と気が付くことがあります。
先日見事にその感覚になったのが芥川龍之介の代表作「蜘蛛の糸」。
内容の説明ははしょりますが日本語の美しさを感じる名著です。
その内容に関して若い時の私はお釈迦様の慈悲に対して無慈悲という答えを出したカンダタの因果応報の物語だと思っていたのですが大人になって読むとそれは表層的な一側面にすぎないように思ったのです。
「お釈迦様がその結末を予見できないはずは無い」
そう考えた時にその結末はカンダタに気づきを与える為のお釈迦様の深い慈悲だったのではないのか。地獄で再度自分の悪行を顧みる本当の反省の機会を与えて下さったのではないのか。
視点が少しお釈迦様サイドにシフトすると物語に厚みが増してくるように思うのです。
年を取るという事は良くも悪くも深読みを好むようになるのかもしれませんね(笑)。
さて今日は着物リメイクのチュニックに関してお話をさせて頂きたいと思います。
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この着物リメイクチュニックでは襟元をリボンにアレンジしています。
今までのブログのまとめになりますが着物から洋服類をリメイクする作り方のポイントとしては、
(1)縫い代を大きくとる…後々補正やフォローが効きやすくしておく
(2)ストレッチが無い素材であるという事を意識する
という点になるだろうと思います。
個人的には特にストレッチは無いという意識が必要だと思います。
ですので、ブラウスやワンピースをサイズに厳密に作るよりも少しゆっくり作ったチュニックのようなデザインのほうが脱ぎ着が容易です。
周りに着物リメイクに関して熟知した人やアドバイザーがいれば一概に言えませんが前述の2点は趣味などの延長で長く着る事が出来る着物リメイクを作るためには必要な考え方だと思います。
あと大前提として生地のリメイクの適性を見極めておくという事は必須です。
この着物生地の見極めには経験が必要ではありますが…。
生地の見極めが出来ずに失敗する例としてはお尻の部分などの強い負荷がかかる部分が裂けるということが一例として挙げられます。
この失敗は致命的な失敗になるので趣味での着物リメイクで生地がよく分からないときはスカート、パンツ、ワンピースなどへのリメイクは避けておいた方が無難です。
着物リメイクというのは何をリメイクするかによって着物生地を選びます。

大事なお着物をリメイクするのですから、この着物生地の見極めや検証という工程はぜひとも重要視して下さい。
着物リメイクと言うと作る事(縫製する事)のみに意識が行きがちですが、私は着物生地の見極めの経験は縫製技術と同じくらい重要なスキルだと思います。
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この商品は2枚の着物を組み合わせて製作したチュニックで襟元のくるみボタン部分と左前の切り替えの部分だけ異なった生地(着物)を使用しています。
先日のブログでも紹介させて頂きましたがこの2枚のチュニックを納品させて頂いたお客様には素敵なクリスマスカードを頂きました。

何かお探しでしょうか